ヘルペス・帯状疱疹
ヘルペス
原因・症状
単純ヘルペスウイルスの感染によって生じます。
ウィルスの初感染や、感染後に体内に潜んでいたウイルスの再活性化によって、皮膚や粘膜に小さなブツブツ(水ぶくれ)やジクジク(ただれ)を引き起こします。
体のどこにでも感染しますが、唇の周囲に出来ることが多いです(口唇ヘルペス)。新生児に感染することもあります。
診断・検査
当院では、迅速細胞診として、病変部の細胞を顕微鏡で観察し、ウィルス性巨細胞を確認する検査も行なえます(Tzanck test)。痛みのない検査であり、その場で結果が分かるのが利点です。
治療
抗ウィルス薬の飲み薬や塗り薬で治療します。
重症の場合は、点滴を用います(当院では点滴治療を行なえませんので、連携病院へご紹介させていただきます)。
細菌の二次感染を起こしている場合は、抗生剤を使用します。
再発性ヘルペスのPIT
ヘルペスを繰り返している方で、前触れ症状(ピリピリ、灼熱感、ムズムズ感)をご自身で判断できる方には、次回分のファムビル錠の処方(PIT: Patient Initiated Therapy)も可能です。
症状が出てから6時間以内にファムビル4錠を服用し、12時間後に更に4錠を服用します。
皮膚の症状を軽くしたり、治るまでの期間を短くしたりという効果を期待できます。
帯状疱疹
原因・症状
水痘・帯状疱疹ウィルスの感染によって生じます。
水ぼうそうに罹った際のウィルスが神経節内に潜伏し、宿主の免疫が低下した際に、再活性化して皮膚に症状を引き起こします。
潜んでいた神経節から知覚神経を経由して皮膚症状を起こすので、神経分布に沿った、片側帯状の皮疹が現れます。
最初は痛みや違和感から始まり、次第に赤みやブツブツ(水ぶくれ)が増え、水ぶくれが破れるとジクジク(ただれ)になります。その後、2~3週間でかさぶたになって治ります。
治療
●帯状疱疹後神経痛(後述)のリスクを減らす為にも、早期の治療が重要です。
抗ウィルス薬の飲み薬で治療します。痛みや神経障害の程度に応じたお薬も併用します。患部には非ステロイド抗炎症薬の塗り薬を使います。
重症の場合は、抗ウィルス薬の点滴や副腎皮質ステロイドを用います(当院では点滴治療を行なえませんので、連携病院へご紹介させていただきます)。
細菌の二次感染を起こしている場合は、抗生剤を使用します。
緊急の場合
顔(三叉神経領域)に帯状疱疹を生じた際は、目や耳の症状を来たす恐れがある為、直ちに連携病院へご紹介させていただきます。
帯状疱疹後神経痛
皮膚症状が治った後も、痛みが続くことがあります。これは、ウィルスによって末梢神経が傷ついたことによる痛みで、年単位で続くことがあります。ペインクリニックでの治療となります。
重症の帯状疱疹の方が、帯状疱疹後神経痛になりやすい為、初期に抗ウィルス薬の治療を行なうことが重要です。