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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

慢性の湿疹を起こし、原因にアレルギーが関与することもある皮膚の病気です。アトピーの治療

日本皮膚科学会における定義では、
①かゆみ
②特徴的な皮疹と分布
③乳児では2ヶ月、その他では6ヶ月以上の慢性の経過
を満たすと、アトピー性皮膚炎と呼びます。

なぜ湿疹を起こすの?

1.皮膚のバリア機能の低下
2.アレルギー(アトピー素因)

が考えられています。

なぜ皮膚のバリア機能が低下するの?

皮膚のバリア機能とは、角層の水分保持、外界の刺激からの防御を指します。
近年では、「フィラグリン」の遺伝子レベルでの異常や「セラミド」の低下がアトピー性皮膚炎で確認されています。
 フィラグリン:角質細胞の成分で、外界の刺激からの防御に関与しています。
  セラミド:角質細胞間脂質で、水分保持に役立っています。

つまり、皮膚のバリア機能が低下している肌だと、水分を失いやすく、外界の刺激(花粉やダストなどのアレルゲン)に敏感になり、湿疹(かゆみ、赤み、かさかさ)を引き起こします。

アトピー素因とは?

気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴や既往歴を指します。
 家族歴:ご家族の病気
 既往歴:ご本人の過去の病気

どんな症状なの?

アトピー性皮膚炎では、広範囲の湿疹が左右対称にみられます。
年齢によって湿疹の出来やすい部位が変わってきます。

  1. 乳児期(2歳未満)
    主に顔や頭から始まり、徐々に手足や体に拡がります。
    多くの場合、1歳半頃に落ち着きます。
  2. 幼児・学童期(2歳~12歳)
    顔よりも肘窩、手首、足首の湿疹が多くなります。
    多くは思春期に軽快していきます
  3. 思春期・成人(13歳以上)
    顔や上半身の湿疹が多くなります。
    成人から発症したり、悪化したりする場合は、治りにくく、付き合いながらの治療になる可能性があります。

どんな治療をするの?

治療のゴールは、かゆみの症状を抑え、日常生活に支障がない状態を維持することです。

1.悪化因子(汗、乾燥、アレルゲンなど)の除去と対策

2.保湿剤や入浴などのスキンケア

3.塗り薬

  • ステロイドの塗り薬
  • タクロリムス(商品名:プロトピック(先発品))カルシニューリン阻害剤
  • デルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム) JAK阻害剤
  • ジファミラスト軟膏(商品名:モイゼルト) PDE4阻害剤

4.飲み薬

  • 抗ヒスタミン薬
  • ステロイドの飲み薬
  • 漢方薬

上記の治療で効果が不十分な場合

5.飲み薬

  • バリシチニブ ウパダシチニブ水和物 アブロシチニブ  JAK阻害剤
  • シクロスポリン(ネオーラル) 最重症の方

6.注射のお薬

  • デュピルマブ(商品名:デュピクセント) 分子標的治療薬
  • ネモリズマブ(商品名:ミチーガ) 分子標的治療薬

7.光線療法(紫外線照射)

  • ナローバンドUVB 
  • エキシマレーザー 

 

治療中の効果の目安として、病勢マーカーであるTARC値、SCCA2値(15歳以下で保険適用)の血液検査も行なえます。

当院では、上記1~4の治療を行っております。

これらの治療で効果が不十分な場合は、5~7の治療法も検討し、認定施設や連携病院をご紹介させていただきます。

アトピー性皮膚炎の治療は、「いかに症状を抑え、快適な日常生活を送れるか」を目標に進めていきます。この数年で、多くのお薬が保険適用になり、治療の選択肢が広がっています。
塗り薬だけでも2剤増えました。各々のお薬の特徴を踏まえつつ、患者様に合ったお薬や生活上の注意点をご提案していきたいと思っております。

 

Q1 子供の湿疹はアトピー性皮膚炎なの?

お子様に湿疹が出来やすいと、アトピー性皮膚炎をご心配なさると思います。
診断基準では、湿疹とアトピー性皮膚炎を区別しますが、アトピー性皮膚炎と診断されても、お子様の場合は年齢が上がるにつれて軽快することが多い上、湿疹の治療法と大きく変わりませんので、特別視する必要はなく、湿疹の出来やすい肌質と捉えて、日常のスキンケアを含めた治療をさせていただきます。
2歳までの重症度が予後に影響するという報告もあり、早期の治療が望まれます。

近年、離乳食開始前のお肌の炎症が、食物アレルギーの発症リスクとなることが分かってきました。その時期のスキンケアも大切にしていきたいです。

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