正常な傷跡の経過（創傷治癒過程）

傷跡は、初めの約3ヶ月間は「赤みと硬さ」が目立ちます。
3ヶ月頃の「赤みと硬さ」のピークを経て、徐々に「白く、柔らかく、平坦」になり、6ヶ月～1年で落ち着いていきます（成熟瘢痕）。

肥厚性瘢痕・ケロイド

正常な傷跡の経過とならずに何らかの原因で線維組織が増えたことにより、傷跡が赤く盛り上がり、ミミズ腫れの様になった状態が「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」です。

ミミズ腫れが傷跡の範囲を超えて正常な皮膚まで拡がった状態がケロイドと考えられていますが、両者を明確に区別することは難しいです。

ケロイドには遺伝的素因もあります。

整容上の問題のみならず、かゆみや痛みの症状を生じた場合は、治療の対象となります。

治療

肥厚性瘢痕・ケロイドともに、基本的な治療法は変わりません。治療は保険適用になります。

保存的療法（手術をしない治療法）

• ステロイドの貼り薬・塗り薬
• ステロイドの注射
• 圧迫療法（シリコンシート、テープ）
• 飲み薬（トラニラストなど）

外科的療法（手術）

• 盛り上がっている部分を切除して、縫い直す
  　Z形成術や局所皮弁などを用いた形成外科の手術になります。

放射線療法

放射線療法や広範囲の手術は、専門病院へご紹介させていただきます。

傷のひきつれ（瘢痕拘縮）

ひきつれている部分の張力を弱めるような治療になります。上記の様な保存的療法を行なうこともありますが、手術による治療となることが多いです。

Z形成術、W形成術、局所皮弁、植皮などを用いた形成外科の手術になります。

広範囲のひきつれ等、当院での治療が難しい場合は、連携病院へのご紹介させていただきます。