女性のデリケートゾーンのできもの(外陰部の粉瘤)
デリケートゾーンのできもの(外陰部の粉瘤)を見つけて、受診した方が良いのかと、考えていらっしゃる患者様向けのページです。
診察時に、お伝えしている内容と重複しますが、受診に際し、ご参考になりましたら幸いです。
当院は、女性スタッフですので、ご安心くださいませ。
当院の方針
粉瘤は、良性の腫瘍(できもの)で、生命を脅かす訳ではないので、切除の手術は絶対ではなく、腫瘍の状況と患者様のご希望に応じて、切除するかを決めていきます。
腫れと痛みを繰り返している、臭いがする、大きくなっている…など、
日常生活に支障をきたす状況であれば、切除を検討させていただきます。
当院からは、手術の方法、費用、所要時間、タイミング(時期)、リスク(合併症)を、ご説明させて頂きます。患者様が納得した上で、決めて頂くのがベストだと思っております。
私としても、手術を行なって良かったと、患者様にご満足頂けることが何よりの喜びであります。
切除するかの判断材料
下記の情報がご参考になりましたら幸いです。
経験も交えて記載していますので、異なるご意見もあると存じます。
これって、粉瘤? 毛嚢炎?
- デリケートゾーンのできものは、大きさが変化することを、頻繁に経験します。女性ホルモンの周期も要因です。
- 1週間位で小さくなる場合は、粉瘤ではなく、毛嚢炎(にきび)の可能性もあります。
- お顔のにきびが生理前に悪化するのと同様に、デリケートゾーンのにきびも毛穴が詰まって炎症を起こすと、赤く腫れて、粉瘤に似ることがあります。
- 生理前は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で、皮脂分泌が増え、毛穴詰まりを起こしやすくなるからです。
- 今まで、しこりがなく、直近の1~2週間で大きくなってきた場合は、毛嚢炎の可能性もありますので、すぐに切除の方針とせず、抗生剤で炎症を落ち着かせて、その後の経過で、粉瘤かどうか、切除をした方が良いのか、判断しています。
手術のリスク(デリケートゾーンに限らず)
- 感染、出血、血腫、漿液腫(リンパ液の貯留 )
- 傷跡は、目立たなくなりますが、多少残ります。術後3~4ヶ月は赤みと硬さの目立つ時期を経て、術後6ヶ月~1年で色味・硬さが落ち着いていきます。
- ケロイド・肥厚性瘢痕(傷の盛り上がり)
- 麻酔アレルギー
- その他、予期せぬこと
状況に応じて最善の対応をさせていただきます。
デリケートゾーンの部位によるリスク
- 恥骨部は、ケロイド・肥厚性瘢痕のリスクが高くなります
- 鼡径部は、下着が擦れたり、関節を動かしたりして、創部が刺激を受けやすいので、術後の合併症が起こりやすいです。漿液腫、瘻孔形成の可能性があります。
- 大陰唇部は、最も合併症が起こりづらいです。傷跡も目立ちにくいです。
- 大陰唇部の後方(お尻に近い部分)は、術後の血腫が出来やすいです。
- 小陰唇部は、しこり(袋状のできもの)がなくても粘液腺のつまりで腫れを繰り返すことがあります。切除が必要かは、診察で判断しています。
手術の方法 くり抜き法? 切除縫合? どちらが良いのかな?
- 過去に腫れを繰り返していた粉瘤(=感染を繰り返していた)は、くり抜き法より切除縫合をおすすめしています。
- 理由として、感染歴のある粉瘤は、被膜と周囲組織との癒着があり、くり抜き法では被膜の一部が取り切れないことがある為です。
- 切除縫合は、くり抜き法より傷が大きくなるかというと、切除の仕方によりますので、必ずしもそういう訳ではないと実感しています。
- デリケートゾーンの中でも、尿や便が付着する部位は、縫合した方が、衛生的で、術後感染のリスクが低いようです。
- 最終的には、患者様のご希望の方法で行なっていきます。
所要時間
- 初診:15~30分 手術のご説明と術前検査(採血)をさせていただきます。
- 手術:15~30分 部位と大きさによります。
- 術後再診:約10分 抜糸(くり抜き法は、創部の診察)と、病理検査結果のご説明、傷跡の保護についてもご説明させていただきます。
手術のタイミング(時期)
- 炎症を起こしている時期は、手術をおすすめしていません。術後感染や創癒合遅延(傷がくっつかない)の可能性が高まります。
- 炎症が落ち着いてからの方が、傷跡が小さく済みますし、術後の合併症が少なくなります。
連携病院へのご紹介について 個数、大きさ、深さ、部位
- 化膿性汗腺炎(慢性膿皮症)という、毛嚢炎や粉瘤がたくさん出来る肌質の方は、全てを切除するのは、おすすめしておりません。腫れを繰り返す部位、目立つ部位など、患者様と相談しながら、決めています。広範囲の切除が必要な場合は、連携病院へご紹介させていただきます。
- 大きさの目安として、6cmを超える腫瘍は、連携病院へご紹介させていただきます。
- 皮下脂肪に埋まっている大きな腫瘍は、画像精査をおすすめしております。超音波検査やMRIで、腫瘍の大きさ、深さ、周囲組織との位置関係を確認してから、手術を行なう方が、安全です。
- 肛門の周囲で腫れを繰り返している腫瘍は、粉瘤ではなく、外痔瘻(がいじろう)の可能性もあります。外痔瘻は外科での治療になりますので、連携病院をお願いしております。
どの診療科を受診したらよいの? 形成外科? 婦人科?
- 外陰部(膣の外側)は、当院でご対応させていただきます。お気軽にご来院くださいませ。
- 膣より内部の場合は、恐れ入りますが、婦人科のご受診をお願いします。
関連ページ:女性のデリケートゾーンのお悩み(できもの・粉瘤)